なんちゃって酒類辞典

皆さんが好きなものである。もとい、数多いアルコール類の中で特にエチルアルコールの事を指すことが多い。比重は0.792である。つまり水よりも軽い。沸点は78.325℃で、水よりも低い温度で気化する。この温度差を利用して蒸留が行われている。

アンチルフィルタードの略。一般にウイスキーはブレンド、加水した後に冷却・濾過を行なうが、それをしていないもの。氷や水で割ると濁ったりする。メーカーによってはノンチル（ｎｏ－ｃｈｉｌｌｆｉｌｔｒａｔｉｏｎ）　とも言う。

独立瓶詰業者。蒸留所から樽で原酒を買い、自社で瓶詰めして販売する業者。マーチャント・ボトラー（ｍｅｒｃｈａｎｔ　ｂｏｔｔｌｅｒ）とも言う。

いわゆるモロミの事。だいたいはお酒を醸して搾る前の状態を指すことが多い。発酵途中の液体をモロミと呼ぶ場合もある。若ビールとかもウォッシュと呼ばれたりする。

直訳すると“天使の分け前”。樽での熟成期間中に蒸発してしまうウイスキーの事。だいたい１年で約３％前後蒸発すると言われている。ちなみに１０年寝かせると樽の中身は約４分の３に減ってしまう。スコットランドの天使は大酒飲みと言われる訳である。

普通にウイスキーの熟成に使用される最小の樽。バットの８分の１。容量は４５～６８ℓ。ちなみに普通に、と書いたのは、日本のあるウイスキーメーカーが開発した１ℓの樽が（実験用ですが）ウイスキーの熟成に使われているからである。と言っても特殊な加工をしてあるそうです。（普通にただ小さいと樽の力が強すぎて熟成のバランスが悪くなるからだそうだ）

いわゆる樽の事。スコットランドではそう呼ぶ。特に大きさは意味しない。

樽から出したままのアルコール度数の事。または樽出しのウイスキーをそう呼ぶ事もある。通常、ウイスキーは瓶詰め前に水を加えて４０度位にアルコール度数を下げるが、カスク・ストレングス・ウイスキーは加水をせずそのまま詰めた物。５０～６０度位の強さが多い。

独立瓶詰業者物のモルトの銘柄。キャンベルタウンのイーグルサム社の販売するモルト。

ウイスキー熟成用の樽で、バットの４分の１。容量は１２７～１５９ℓ。

樽職人の事。樽やウォッシュバック等の製造・修理などをする。力仕事だが繊細な技術も必要である。頑固で一徹な人が多い（笑）スコットランドには「クーパーとだけは喧嘩するな」と言うことわざがある。

主にトウモロコシなどを原料に連続式蒸留機で蒸留したウイスキー。クセがなく、マイルドだが個性に乏しい。

独立瓶詰業者物のモルトの銘柄。キャンベルタウンに本拠を持ち、スプリングバンクと同資本。店舗はエディンバラのロイヤルマイルにある。

１９世紀にイーニアス・コフィーが発明した連続式蒸留器。パテントスティル、コンティニアススティルとも言う。

エルギンにある独立瓶詰業者。ＧＭとも言う。業界の先駆者である。蒸留所から樽で買い、自社の熟成庫で熟成させる。ＧＭラベルの他に古地図のラベルのコニッサーズチョイス・シリーズが有名。

シェリー酒の熟成に使われた樽の事。容量はほとんどが５００ℓでシェリーバットとも呼ばれる。

エディンバラの独立瓶詰業者。全てシングルカスクで樽番号、ボトルNo.もラベルに明記されている。結構レアな蒸留所のモルトも出していたりする。

シングルカスクウイスキー（single cask whisky）の事を指す。ひとつの樽からのみ瓶詰めしたウイスキーの事。樽によって色合いや味わいが異なるので、の見比べると違いが分かる。バーボンはシングルバレルウイスキー（single barrel whiskey）と呼ぶ。

シングルモルトウイスキー（single malt whisky）の事。単一の蒸留所のモルトウイスキーだけを瓶詰めした物。

独立瓶詰業者物のモルトの銘柄。エディンバラにあり、ＪＭ社とも言う。製品は全て加水せず瓶詰なのが特徴。

エディンバラのリースに本拠を置く会員制のクラブ。ＳＭＷＳと略される。会員はＳＭＷＳが瓶詰めしたウイスキーを購入できる。ＳＭＷＳは１３０を超える蒸留所から直接樽を買い付け、樽出しの状態で瓶詰めする。加水も冷却濾過も一切しないそのウイスキーは置いておくと澱が沈み、また水や氷で割るとうすく濁る。

密造者のこと。ムーンシャイナー（moonshiner）などとも言う。密造する事をスマグリングと言う。

乾杯する時にスコットランドではこの言葉を使う。意味はゲール語で「大いなる健康に」と言う意味。ちなみにその隣国アイルランドでは乾杯の時に「スラーンジ」と言う。多分同じ意味ですね。

ウイスキーの蒸留所で飼われている猫の事。ウイスキーキャット（whisky cat）とも言う。原料の大麦をねらうネズミや小鳥を退治するため、たいていの蒸留所が飼ってる。個人（個猫？）差があり、全然働かない猫もいるとか（笑）

ブレンダー用語で、ウイスキーに深みや豊かさを与える最上のモルトの事。大量にはブレンドされないが、味の決め手になる。昔からマッカランやグレンファークラスなどがそれであった。

「一杯の」と言う意味。一杯のウイスキーという意味もあるが厳密な量は決まっていない。３０ｍｌ位か？　ウィードラム（wee dram）で可愛らしい一杯、と形容されたりするのはグラスになみなみ注がれたウイスキーを指すことが多い。ちなみにdramはゲール語で飲む、と言う意味がある。有名なドランブイ（リキュール）の名前もここからついている。

生（き）のままで飲む事。ストレートと同じ意味。日本でこの言葉を使っている人はほとんどいない。バーテンダーでもほとんど知らないはず。（当社調べ。笑）ちなみに英語でneatを調べると、きちんとした、すっきりとした、と言った意味もあるらしい。

スコッチを熟成させる樽の中で最大の物。容量は約５００ℓ前後。大きさと形でそう呼ばれているが、たいていシェリーの空樽である。

ウイスキー熟成用の樽で、容量は１８０ℓ。バーボンはこのタイプで熟成される。最近のラムもこれで熟成される。ちなみに米語では樽そのものをbarrelと呼ぶが、スコットランドのウイスキー業界ではバーボン樽のことをbarrelと呼ぶことが多い。

バーボンの熟成に使った樽。アメリカンオーク製。バーボンはその熟成に新樽しか使えない為、その空樽をスコッチが使う。ちなみに空樽は一度解体してからスコットランドに運ばれる為、樽材を意味する事もよくある。

連続式蒸留器。コフィースティルに同じ。１８３１年にイーニアス・コフィーがパテント（特許）を取ったことから。

ウイスキーを熟成させる樽で、容量はバットと同じかちょっと大きい位（５００ℓ前後）。ややずんぐりして胴が太いので樽の中のウイスキーと接触する単位容量当りの面積が少なく、熟成がゆっくり進むのが特徴。ちなみにスコットランドではほとんど使われていない。

ピュアモルトウイスキー（pure malt whisky）の事。原料はモルト（麦芽）１００％。必ずしもシングルモルトではない。

ヒース（へザー）等の潅木が堆積して炭化した物。泥炭。乾かして燃料にする。モルトウイスキーを造る際に使われたりする。

ウイスキー同士を調合し、ブレンデッドウイスキーをつくる、あるいはその味覚を維持する職人（業種・業者）トップレベルのマスターブレンダーともなるとその香りだけで全ての蒸留所を言い当てる事が出来る。ビッグノーズと称される。ちなみにある有名なビッグノーズは仕事を終えて帰宅してもやはりウイスキーを飲むらしい。奥さんに飲むのをたしなめられるとこう言うそうである。「そう怒らないでくれ、これは残業をしているんだ・・・。」（実話です。笑）

モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドした物。市場に出回るスコッチの約９割はこれである。

バーボン樽、シェリー樽を問わず、一度スコッチを熟成させて空いた樽の事を言う。再々利用の樽、リフィルカスクとも。だが最近ではリフィルシェリーカスク等も出てきており、以前詰めた酒類や樽材の風味がほとんどなくなった樽、と言ってよいだろう。スコッチ（その原酒）が持っている本来の風味が生かされやすいと言われる。

迎え酒の事。犬に咬まれた時に傷口にその犬の毛を擦り付けたという民間療法から。毒を持って毒を制す、と訳す辞典もある（笑）　ちなみに効果のほどは保証しない。

容量２５０ℓ前後の樽。蒸留所（または職人）によってまちまちだが、ホグシェッドとも発音する。解体したバーボン樽から作るが、胴径はバーボン樽（バレル）より太い。バレルよりも木香の影響が少ない。豚の頭が語源とされているが、よく分からないらしい。一説によるとウイスキーを満たした重さがちょうど豚一頭分だからとも・・・。ちなみにこの樽の満量重量は約２８０ｋｇ。イギリスのヨークシャー種の豚は約２５０～３００ｋｇ。・・・まゆつばである。

モルトウイスキーの蒸留に使用する単式蒸留釜。銅製である。原理はかなりシンプルである。板金や溶接が出来る人なら作れるかも。（たぶん犯罪です。笑）ちなみにスコットランドでは法律である一定容量以下のポットスティルを製造する事は禁止されている。

瓶詰めする前に全ての樽のウイスキーを混ぜ合わせる事。または（ブレンデッドの場合）モルトとグレーンを混ぜ合わせ、落ち着かせるのに数ヶ月樽に寝かせる事もあるが、それもマリッジ（マリッジング）と言う。

操業休止する、または休止中の蒸留所の状態をそう呼んだりする。英語で予備にする、しまっておく、と言った意味。完全閉鎖ではなく、生産調整などのことが多い。結構中庭の芝生はきれいにされていたりする（笑）　サイレント（silent）と同義だがサイレント・シーズン（夏季休業）もサイレントと言ったりするので分かりにくい。

大麦麦芽の事。モルトウイスキーの原料となる。モルトウイスキーを略してそう呼ぶことも多い。麦芽を作る（製麦する）人の事をモルトマンと言う。

大麦麦芽（モルト）を原料に単式蒸留器（ポットスティル）で蒸留したウイスキー。熟成はオークの樽で３年以上が義務付けられている。日本でモルトウイスキーと言うとシングルモルトウイスキーを指すことが多い。もちろん例外はあるが。

麦芽を製造する工場、あるいはその業者（製麦業者）一般人の見学はほぼ間違いなく無理である。くやしいけど・・・（自嘲）

スコッチ業界最大手のモンスター企業。ＵＤ社とも。スコットランドの半数近い蒸留所を所有している。現在はＩＤＶと合併してＵＤＶ（ユナイテッド・ディスティラーズ・アンド・ヴィントナーズ）社となっている。一部のファンの為にオフィシャルボトルを結構出してくれる（笑）

バーボン樽やシェリー樽に一度スコッチを詰めた後、空いた樽の事。セカンドフィル、サードフィルと何度も再使用する。日本では一空き（いちあき）、二空き（にあき）と呼んでいる。ちなみにバーボン樽にスコッチを詰め、その後空いた樽が日本では二空きの樽になる。

ハイラムウォーカー社がダンバートンのバランタインの工場で開発した特殊なポットスティル。スティルの上部が円筒形になっていて、ラインパイプが通っている。その中をスティーム(蒸気)が通り、加熱できる仕組みになっている。出来上がったウイスキーはヘヴィ－でオイリーに仕上がると言う。最初はインヴァリーブンで使用され、後に系列のグレンバーギ、ミルトンダフ、スキャパにも導入されたが(スキャパは初留釜のみ)現在は使用されていない。ちなみにそれぞれのローモンドスティルモルトはグレンクレイグ(1958～1981、グレンバーギ）、モストウィー（1964～1981ミルトンダフ)のみである。インヴァリーブンを含めてかなりのレアである。見つけたら是非飲むように(笑)"

同じ酒類の原酒を混ぜ合わせる事。ブレンドとはちょっと異なる。

ヴァッテド・モルト・ウイスキー（vatted malt whisky）の事。モルトウイスキー同士をブレンドしたウイスキー。また、同じ酒類の違う原酒同士を混ぜ合わせたものもウ゛ァッテドと言う事がある。